カワサキ・750ターボ

基本情報
排気量クラス 大型自動二輪車
エンジン 738 cm3 
空冷4ストローク4気筒DOHCターボ2バルブ
内径×行程 / 圧縮比 66.0 mm × 54.0 mm / 7.8:1
最高出力 112ps/9000rpm
最大トルク 10.12kgm/6500rpm
      詳細情報
製造国
製造期間
タイプ
設計統括
デザイン
フレーム
全長×全幅×全高 2190 mm × 720 mm × 1260 mm
ホイールベース 1490 mm
最低地上高 155 mm
シート高 780 mm
燃料供給装置 燃料噴射装置D.F.I
始動方式
潤滑方式 ウェットサンプ式
駆動方式 チェーン式
変速機 5速
サスペンション テレスコピック式
スイングアーム式
キャスター / トレール 28.00° / 117 mm
ブレーキ ダブルディスク
シングルディスク
タイヤサイズ 110/90-18
140/80-18
最高速度
乗車定員 2人
燃料タンク容量 17 L
燃費
カラーバリエーション
本体価格
備考
先代
後継
姉妹車 / OEM
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カワサキ・750ターボ川崎重工業1984年に発売した750ccの過給器付きオートバイである。

概要

1970年代後半、排ガス規制によって全般的に出力の低下した四輪車は出力向上のためにターボチャージャーを採用し、ターボブームが巻き起こった。1980年代に入り、それまで空冷自然吸気エンジンが主流だったオートバイにも世界初のターボチャージャー搭載車が登場した。1980年ホンダ・CX500Turboが登場、1982年にヤマハXJ650ターボ、スズキXN85が登場した。

当時ターボチャージャー搭載車を市販車として持っていなかったカワサキも、1981年東京モーターショーにはすでに750turboのプロトタイプを参考出品していた。翌1982年のケルンショーでは正式に量産モデルとして披露され、2年後の1984年にデリバリーが開始された。日本の4メーカー中で最後発となった同車だったが、最高出力は他メーカーのターボモデルを大きく上回る112psであった。また、セパレートハンドルやバックステップ、当時は最高の速度レンジであったVレンジタイヤなどを装備していた。  0-400mタイムは10.71秒で当時世界最速(GPz1100は11.00秒)、最高速度は235km/h(GPz1100は237km/h)であった。車体は高出力に対応するために大口径のフロントフォークと大径ディスクブレーキ、強化クラッチを装備した。750ターボはZ750FXIIやZ750GPなどと同様にZ650ザッパーをベースとして設計されている。サイドカバーやアンダーカウルなどには、1981年の東京モーターショーで公開されたプロトタイプの外観意匠と同様にリベット風の処理が施されていた。

しかし他社も含めてオートバイのターボモデルは全て日本国外輸出専用で国内販売はなかった。また750ターボの価格はフラッグシップモデルのGPz1100より高価であり、当時の円レート換算で230万円以上の価格が設定されていた(1984年当時、日本の大卒者の平均初任給は約13万円)。

  • 空冷ターボエンジン搭載
    空冷ターボエンジン搭載
  • エンジンガードはアルミ製、その下にターボチャージャーがある
    エンジンガードはアルミ製、その下にターボチャージャーがある

モータースポーツ対応

カワサキは車体の設計段階から750ターボをレースに転用できるよう計画していた。そのひとつがエンジンコントロールユニット(デジタルフューエルインジェクション)のデータで、ある特定の配線を一本切断するだけでブーストアップと噴射燃料増量を行う、レース用の制御データが実装されていた[1]。もう一つはターボチャージャーに走行風を直接導入するインテークダクトで、カワサキ純正レース専用パーツとして車体開発に平行して試作されていた[2]。ターボチャージャー近辺に設けられたアンダーカウルの意匠は、レース専用インテークダクトが接続される空気取り入れ口となる予定だった。これらの情報は公道上で使用することが前提の一般ユーザーには公表されていなかったが、カワサキ内部文書の流出後はユーザーの間で「レースモード」と呼ばれていた。

脚注

  1. ^ “Modification for Race - ZX750E”. 750turbo.com. pp. 1. 2011年8月20日閲覧。
  2. ^ “Modification for Race - ZX750E”. 750turbo.com. pp. 4. 2011年8月20日閲覧。