トゥーズ・ミッシング

トゥーズ・ミッシング
ザ・フーコンピレーション・アルバム
リリース
録音 1964年-1971年
ジャンル ロック
時間
レーベル アメリカ合衆国の旗MCAレコード
イギリスの旗ポリドール・レコード
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トゥーズ・ミッシング』(Two's Missing)は、イングランドのロック・バンドであるザ・フーコンピレーション・アルバムである[1]。彼等が解散していた1987年にアメリカで発表された[注釈 1]

概要

経緯

本作はMCAレコードが1985年に発表したアルバム『フーズ・ミッシング』の続編に相当し、前編と同様に、シングルで発表されたアルバム未収録曲、未発表のスタジオ音源、ライブ録音が収録された。

詳細は「フーズ・ミッシング」を参照

内容

収録曲は1964年から1971年までの期間に録音された14曲で、オリジナルが6曲、カヴァーが8曲である。オリジナルの「マイ・ワイフ」のライブ録音、カヴァーの「ゴーイン・ダウン」、「モータリング」は、本作で初めて発表された。

オリジナル

未発表音源
アメリカでの未発表曲
  • ドッグス(英語版)Dogs)」
    イギリスでは1968年6月14日にシングル発表され[3]、同年10月に発表された編集アルバム『ダイレクト・ヒッツ』に収録された。
  • 「ウォーター(Water)」
    1970年に録音され、イギリスではシングル『5:15(英語版)』(1973年)のB面に収録された[4]
アメリカでのアルバム未収録曲
  • 「ドッグス・パート2(Dogs Part 2)」
    シングル『ピンボールの魔術師Pinball Wizard)』(1969年)のB面収録曲[5]
  • ワスプマン(英語版)Waspman)」
    シングル『奴らに伝えろ(英語版)Relay)』(1972年)のB面収録曲[6]。イギリスではポリドール・レコードが1983年に発表した編集アルバム『レアリティーズ(英語版)[7]に収録された。
  • サークルズ(英語版)Circles)」(Revised version)
    「サークルズ」には、1965年11月12日と13日にロンドンのIBCスタジオシェル・タルミー(英語版)のプロデュ―スによって録音されたもの[8]と、1966年1月にロンドンのオリンピック・スタジオでザ・フー自身のプロデュ―スによって録音されたものが存在する。本作に収録された'Revised version'は後者で、アメリカでは未発表だった[注釈 2]。この'Revised version'は、1966年3月4日にイギリスでリアクション・レコード(英語版)から発表されたシングル『恋のピンチ・ヒッター』(Reaction 591001)のB面に収録されたもの[9]、14日にイギリスで改めて発表された同シングル(Reaction 591001)のB面に「インスタント・パーティ」と改題されて収録されたもの[10]と同一である[注釈 3]
    詳細は「マイ・ジェネレーション (アルバム)」および「恋のピンチ・ヒッター」を参照

カヴァー

未発表音源
  • 「ゴーイン・ダウン(Goin' Down)」(Live)
    本作の「マイ・ワイフ」や『フーズ・ミッシング』に収録された「バーゲン」と共に、1971年12月13日、サンフランシスコのシビック・オーディトリウムで録音された[2]。原曲はドン・ニックス(英語版)が1969年にプロデュ―スしたMoloch[11]のアルバム[12]に提供した楽曲(Going Down)で、ローリング・ストーンズベック・ボガート & アピスなどに取り上げられた。
  • ヒート・ウェイヴHeat Wave)」(Original version)
    同曲は1966年8月に録音されたものがセカンド・アルバム『ア・クイック・ワン』(1966年)に収録された[注釈 4]が、このOriginal versionは、1965年4月、ロンドンのIBCスタジオでタルミーのプロデュ―スによって録音された[13]。原曲はエディ・ホーランド(英語版)ブライアン・ホーランド(英語版)ラモント・ドジャー(英語版)が構成したアメリカのソングライター・チームであるホーランド=ドジャー=ホーランドの楽曲で、1963年7月にマーサ&ザ・ヴァンデラスが発表した。
  • 「モータリング(Mortoring)」
    「ヒート・ウェイヴ」と同じく1965年4月の録音[13]。原曲はウィリアム・ "ミッキー" ・スティーヴンソン(英語版)作。スティーヴンソンとアイヴィ・ジョー・ハンター(英語版)のプロデュースでマーサ&ザ・ヴァンデラスによって録音され、1965年にシングルのB面に収録された[14]
アメリカでの未発表曲
  • アイム・ア・マン(英語版)I'm a Man)」
    「ヒート・ウェイヴ」と同じく1965年4月の録音[13]。イギリスではデビュー・アルバムMy Generationに収録されたが、アメリカでのデビュー・アルバムThe Who Sings My Generationでは「サークルズ」改め「インスタント・パーティー」に差し替えられた[15]ボ・ディドリーが本名のエラス・マクダニエルの名義で作詞作曲し、ディドリーの名義で1955年に発表した。
  • 「ダディー・ローリング・ストーン(Daddy Rolling Stone)」
    1965年4月12日から14日にかけて、ロンドンのIBCスタジオでタルミーのプロデュースにより行なわれたレコーディング・セッションで録音され[16]、同年5月21日にイギリスで発表されたシングル『エニウェイ・エニハウ・エニホエア[17][18]のB面に収録された。ニッキー・ホプキンス(ピアノ)が参加。原曲はアメリカのブルース・シンガーのオーティス・ブラックウェル(英語版)Daddy Rollin' Stoneで、彼が1953年に発表したデビュー・シングルのB面に収録された[19]
  • ラスト・タイムThe Last Time)」(Mono)
  • アンダー・マイ・サム(Under My Thumb)」(Mono)
    アメリカでの未発表録音。1967年6月に大麻所持の容疑で起訴されたミック・ジャガーキース・リチャーズを救援する目的で、6月28日にロンドンのデ・レーン・リー・スタジオ(英語版)で急遽録音された。新婚旅行中のジョン・エントウィッスルに代わってタウンゼントがベース・ギターを演奏した。「ラスト・タイム」をA面、「アンダー・マイ・サム」をB面に収録したシングルが6月30日にイギリスで発表された。
アメリカでのアルバム未収録曲
  • 「ボールド・ヘデッド・ウーマン(Bold Headed Woman)」(Mono)
    1964年11月ロンドンのパイ・スタジオでタルミーのプロデュースにより録音され、同年12月にアメリカ、1965年1月にイギリスで発表されたシングル『アイ・キャント・エクスプレイン[20]のB面に収録された。作者が特定されていないブルースをタルミーが編曲したもので、彼がプロデュ―スしたキンクスのデビュー・アルバム(1964年)で取り上げられていた。

収録曲

LP

Side One
#タイトル作詞・作曲録音年月日及び場所・プロデュ―サー・オリジナル時間
1.「ボールド・ヘデッド・ウーマン(Bald Headed Woman)」Shel Talmy
  • 1965年3月、IBC スタジオ、ロンドン
  • シェル・タルミー
  • シングル『マイ・ジェネレーション』B面(イギリスの旗1965年10月29日、アメリカ合衆国の旗1965年11月20日)
2.「アンダー・マイ・サム(Under My Thumb)」Mick Jagger, Keith Richard
  • 1967年6月29日、デ・レーン・リー・スタジオ、ロンドン
  • キット・ランバート
  • シングル『ラスト・タイム』B面(イギリスの旗1968年6月30日)
3.「マイ・ワイフ(My Wife)」(Live)John Entwistle
  • 1971年12月13日、シビック・オーディトリウム、サンフランシスコ
  • ザ・フー
  • 本アルバム
4.「アイム・ア・マン(I'm a Man)」Ellas McDaniel
  • 1965年3月、IBC スタジオ、ロンドン
  • シェル・タルミー
  • アルバム『マイ・ジェネレーション』(イギリスの旗1965年12月)
5.「ドッグス(Dogs)」Pete Townshend
  • 1968年5月、アドビジョン・スタジオ、ロンドン
  • キット・ランバート
  • シングル『ドッグズ』A面(イギリスの旗1968年6月14日)
6.「ドッグズ・パート2(Dogs Part 2)」Keith Moon, Towser, Jason
  • 1969年2月12日、IBC スタジオ、ロンドン
  • キット・ランバート
  • シングル『ピンボールの魔術師』B面(イギリスの旗1969年3月7日、アメリカ合衆国の旗1969年3月22日)
7.「サークルズ(Circles)」(Revised version)Townshend
  • 1966年1月、オリンピック・スタジオ、ロンドン
  • ザ・フー
  • シングル『恋のピンチ・ヒッター』(Reaction 591001)B面(イギリスの旗1966年3月4日)
合計時間:
Side Two
#タイトル作詞・作曲録音年月日及び場所・プロデュ―サー・オリジナル時間
1.「ラスト・タイム(The Last Time)」Jagger, Richard
  • 1967年6月29日、デ・レーン・リー・スタジオ、ロンドン
  • キット・ランバート
  • シングル『ラスト・タイム』A面(イギリスの旗1968年6月30日)
2.「ウォーター(Water)」Townshend
  • 1970年3月頃、イール・パイ・スタジオ、ロンドン
  • ピート・タウンゼント
  • シングル『5.15』B面(イギリスの旗1973年10月5日)
3.「ダディー・ローリング・ストーン(Daddy Rolling Stone)」Otis Blackwell
4.「ヒート・ウェイヴ(Heat Wave)」(Original version)Lamont Dozier, Brian Holland, Eddie Holland
  • 1965年4月、IBCスタジオ、ロンドン
  • シェル・タルミー
  • 本アルバム
5.「ゴーイン・ダウン(Goin' Down)」(Live)Don Nix
  • 1971年12月13日、シビック・オーディトリウム、サンフランシスコ
  • ザ・フー
  • 本アルバム
6.「モータリング(Mortoring)」Ivy Jo Hunter, Phil Jones, William "Mickey" Stevenson
  • 1965年4月、IBCスタジオ、ロンドン
  • シェル・タルミー
  • 本アルバム
7.「ワスプマン(Waspman)」Moon
  • 1972年8月7日、オリンピック・スタジオ、ロンドン
  • ザ・フー
  • シングル『奴等に伝えろ』B面(イギリスの旗1972年12月22日、アメリカ合衆国の旗1972年11月25日)
合計時間:

CD

トラックリスト
#タイトル作詞・作曲録音年月日及び場所・プロデュ―サー・オリジナル時間
1.「ボールド・ヘデッド・ウーマン(Bald Headed Woman)」(Mono)Shel Talmy
  • 1965年3月、IBC スタジオ、ロンドン
  • シェル・タルミー
  • シングル『マイ・ジェネレーション』B面(イギリスの旗1965年10月29日、アメリカ合衆国の旗1965年11月20日)
2.「アンダー・マイ・サム(Under My Thumb)」(Mono)Mick Jagger, Keith Richard
  • 1967年6月29日、デ・レーン・リー・スタジオ、ロンドン
  • キット・ランバート
  • シングル『ラスト・タイム』B面(イギリスの旗1968年6月30日)
3.「マイ・ワイフ(My Wife)」(Live)John Entwistle
  • 1971年12月13日、シビック・オーディトリウム、サンフランシスコ
  • ザ・フー
  • 本アルバム
4.「アイム・ア・マン(I'm a Man)」Ellas McDaniel
  • 1965年3月、IBC スタジオ、ロンドン
  • シェル・タルミー
  • アルバム『マイ・ジェネレーション』(イギリスの旗1965年12月)
5.「ドッグス(Dogs)」Pete Townshend
  • 1968年5月、アドビジョン・スタジオ、ロンドン
  • キット・ランバート
  • シングル『ドッグズ』A面(イギリスの旗1968年6月14日)
6.「ドッグズ・パート2(Dogs Part 2)」(Mono)Keith Moon, Towser, Jason
  • 1969年2月12日、IBC スタジオ、ロンドン
  • キット・ランバート
  • シングル『ピンボールの魔術師』B面(イギリスの旗1969年3月7日、アメリカ合衆国の旗1969年3月22日)
7.「サークルズ(Circles)」(Revised version, mono)Townshend
  • 1966年1月、オリンピック・スタジオ、ロンドン
  • ザ・フー
  • シングル『恋のピンチ・ヒッター』(Reaction 591001)B面(イギリスの旗1966年3月4日)
8.「ラスト・タイム(The Last Time)」(mono)Jagger, Richard
  • 1967年6月29日、デ・レーン・リー・スタジオ、ロンドン
  • キット・ランバート
  • シングル『ラスト・タイム』A面(イギリスの旗1968年6月30日)
9.「ウォーター(Water)」Townshend
  • 1970年3月頃、イール・パイ・スタジオ、ロンドン
  • ピート・タウンゼント
  • シングル『5.15』B面(イギリスの旗1973年10月5日)
10.「ダディー・ローリング・ストーン(Daddy Rolling Stone)」Otis Blackwell
11.「ヒート・ウェイヴ(Heat Wave)」(Original version)Lamont Dozier, Brian Holland, Eddie Holland
  • 1965年4月、IBCスタジオ、ロンドン
  • シェル・タルミー
  • 本アルバム
12.「ゴーイン・ダウン(Goin' Down)」(Live)Don Nix
  • 1971年12月13日、シビック・オーディトリウム、サンフランシスコ
  • ザ・フー
  • 本アルバム
13.「モータリング(Mortoring)」Ivy Jo Hunter, Phil Jones, William "Mickey" Stevenson
  • 1965年4月、IBCスタジオ、ロンドン
  • シェル・タルミー
  • 本アルバム
14.「ワスプマン(Waspman)」Moon
  • 1972年8月7日、オリンピック・スタジオ、ロンドン
  • ザ・フー
  • シングル『奴等に伝えろ』B面(イギリスの旗1972年12月22日、アメリカ合衆国の旗1972年11月25日)
合計時間:

参加ミュージシャン

The Who

その他

脚注

[脚注の使い方]

出典

  1. ^ “thewho.com”. 2023年11月18日閲覧。
  2. ^ a b Neill & Kent (2007), p. 295.
  3. ^ “thewho.com”. 2023年11月19日閲覧。
  4. ^ “thewho.com”. 2023年11月18日閲覧。
  5. ^ “thewho.com”. 2023年11月19日閲覧。
  6. ^ “thewho.com”. 2023年11月19日閲覧。
  7. ^ “thewho.com”. 2023年11月18日閲覧。
  8. ^ “thewho.com”. 2023年11月19日閲覧。
  9. ^ “thewho.com”. 2023年11月19日閲覧。
  10. ^ “thewho.com”. 2023年11月19日閲覧。
  11. ^ “Discogs”. 2023年11月19日閲覧。
  12. ^ “Discogs”. 2023年11月19日閲覧。
  13. ^ a b c Neill & Kent (2007), p. 78.
  14. ^ “Discogs”. 2023年11月22日閲覧。
  15. ^ “thewho.com”. 2023年11月22日閲覧。
  16. ^ Neill & Kent (2007), pp. 78–79.
  17. ^ “thewho.com”. 2023年11月15日閲覧。
  18. ^ “Discogs”. 2023年11月15日閲覧。
  19. ^ “Discogs”. 2023年11月23日閲覧。
  20. ^ “thewho.com”. 2023年12月2日閲覧。

注釈

  1. ^ イギリスでは1988年に発表された。
  2. ^ タルミーによってプロデュ―スされた前者は、彼によって「インスタント・パーティー」(Instant Party)と改題され、1966年4月にデッカ・レコードが発表したアメリカでのデビュー・アルバム『マイ・ジェネレーション』(The Who Sings My Generation)に収録された。
  3. ^ 1965年12月にブランズウィック・レコード(英語版)が発表したイギリスでのデビュー・アルバム『マイ・ジェネレーション』(My Generation)には、「サークルズ」ではなく、後述する「アイム・ア・マン」が収録されていた。
  4. ^ 1966年8月にロンドンのIBCスタジオで、マネージャーのキット・ランバートのプロデュ―スで録音された。

参考文献

  • Neill, Andy; Kent, Matt (2007). Anyway Anyhow Anywhere: The Complete Chronicle of The Who 1958-1978. Virgin Books. ISBN 978-0-7535-1217-3 
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ロジャー・ダルトリー - ピート・タウンゼント
ダグ・サンダム - ジョン・エントウィッスル - キース・ムーン - ケニー・ジョーンズ
ツアー・メンバー

ジョン “ラビット” バンドリック - ザック・スターキー - サイモン・タウンゼント - ピノ・パラディーノ

スタジオ・アルバム
ライヴ・アルバム

ライヴ・アット・リーズ - フーズ・ラスト - ジョイン・トゥゲザー - ワイト島ライヴ1970 - BBCセッションズ - ライヴ・アット・フィルモア・イースト1968

コンピレーション

マジック・バス〜ザ・フー・オン・ツアー - ダイレクト・ヒッツ - ミーティ・ビーティ・ビッグ・アンド・バウンシィ - オッズ&ソッズ - キッズ・アー・オールライト (サウンドトラック) - フーズ・ミッシング - トゥーズ・ミッシング - Thirty Years of Maximum R&B - ゼン・アンド・ナウ

EP

レディ・ステディ・フー - ワイアー・アンド・グラス

主な楽曲
映画・映像作品

キッズ・アー・オールライト - Thirty Years of Maximum R&B Live - ワイト島ライヴ1970 - ザ・フー:ライヴ・アット・キルバーン - ザ・フー:アメイジング・ジャーニー - Tommy & Quadrophenia Live With Special Guest - Quadrophenia Live In London - The Who & Special Guests - Live At The Royal Albert Hall - Who's Better, Who's Best - Live in Boston

関連アルバム

トミー (ロンドン交響楽団) - トミー (オリジナル・サウンドトラック) - さらば青春の光 (サウンドトラック) - サブスティテュート〜ザ・ソングス・オブ・ザ・フー

関連映画・映像作品

モンタレー・ポップ フェスティバル'67 - ロックンロール・サーカス - ウッドストック/愛と平和と音楽の三日間 - ワイト島1970-輝かしきロックの残像 - トミー - さらば青春の光 - ランバート・アンド・スタンプ

関連項目

モッズ - トラック・レコード - ロック・オペラ - The Who's Tommy - Teenage Cancer Trust

関連人物

ピーター・ミーデン - キット・ランバート - クリス・スタンプ - シェル・タルミー - ジョン・"スピーディ"・キーン - メヘル・バーバー - グリン・ジョンズ - ビル・カービシュリー - ロバート・スティグウッド

関連バンド
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