マッハ (ケルト神話)

マッハはアルスターの住民たちに「五日間の産みの苦しみ」を受ける呪いをかけたという。

マッハ(Macha)は、ケルト神話に伝わる戦いの三女神の一柱[1]。正確には古アイルランド語でヴァハと呼ばれ[2]、その名はケルト語で「平原」の意である magesiā に由来する[3]。「赤い鬣(たてがみ)のマッハ(Macha Mong Ruad)」または「赤毛のマッハ(Macha Dearg)」と呼ばれることもある[4]

、戦い、豊饒、および主権を司ると言われる[5]。戦士達を戦闘の狂気の渦へ導くとされ[6]モリガンが魔法の他に槍を用いて戦うのに対し、マッハは常に魔法のみを用いて戦う[7]。戦死者の首を食べるとされ、敵の首を門に飾るケルトの風習は「ヴァハの木の実の餌」と呼ばれ、彼女への供物だといわれている[2][8]

神話では女神エルンワス(英語版)の娘で[3]、モリガン、バズヴとは三姉妹だとされている[1]フィル・ヴォルグ族との戦いでは魔法を駆使してトゥアハ・デ・ダナーンの勝利に貢献したが[6]フォモール族との戦いでバロールにヌアザと共に殺された。マッハは何度も転生を繰り返し、ネヴェズ族の族長の妻やミレ族の王女、クルンヌッフ(英語版)(クルンチュー)の妻たる妖精となって度々神話に登場している[4]

出典

  1. ^ a b 『虚空の神々』170頁。
  2. ^ a b 『世界の神々の事典』202頁。
  3. ^ a b 『世界女神大事典』349頁。
  4. ^ a b 『虚空の神々』171頁。
  5. ^ 『ケルト神話』141頁。
  6. ^ a b 『虚空の神々』169頁。
  7. ^ 『西洋神名事典』199頁。
  8. ^ 『ケルト』66頁。

参考文献

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  • 松村一男『世界の神々の事典 - 神・精霊・英雄の神話と伝説 - 』学研〈Books Esoterica 事典シリーズ 5〉、2004年、ISBN 978-4-05-603367-0
  • STUDIO-M『ケルト - 幻想の神々 - 』ジャパン・ミックス、1997年、ISBN 978-4-88321-355-9
  • 山北篤監修、稲葉義明他著 『西洋神名事典』新紀元社、1999年、ISBN 978-4-88317-342-6
  • 健部伸明と怪兵隊『虚空の神々』新紀元社〈Truth in Fantasy 6〉、1990年、ISBN 978-4-915146-24-4
  • 池上正太『ケルト神話』新紀元社〈Truth In Fantasy 85〉、2011年、ISBN 978-4-7753-0868-4
  • 松村一男他編『世界女神大事典』原書房、2015年、ISBN 978-4-562-05195-3

関連項目

神々
トゥアハ・デー・ダナン
フォモール族
その他
定住民族
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  • パルサローン
  • ネヴェズ
フィル・ヴォルグ
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関連文献
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