中村文則

中村 文則
(なかむら ふみのり)
(2013年、ロサンゼルスにて)
誕生 (1977-09-02) 1977年9月2日(46歳)
日本の旗 日本愛知県東海市
職業 小説家
言語 日本語
国籍 日本の旗 日本
教育 学士社会学
最終学歴 福島大学行政社会学部卒業
活動期間 2002年 -
ジャンル 小説
代表作 『土の中の子供』(2005年)
『掏摸』(2009年)
『教団X』(2014年)
『逃亡者』(2020年)
主な受賞歴 新潮新人賞(2002年)
野間文芸新人賞(2004年)
芥川龍之介賞(2005年)
大江健三郎賞(2010年)
ドゥマゴ文学賞(2016年)
中日文化賞(2020年)
デビュー作 『銃』(2002年)
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中村 文則(なかむら ふみのり、1977年9月2日 - )は日本小説家

来歴

愛知県東海市出身。愛知県立東海南高等学校福島大学行政社会学部応用社会学科卒業。フリーターを経て、2002年に「銃」で第34回新潮新人賞を受賞しデビュー。2004年、『遮光』で第26回野間文芸新人賞2005年、『土の中の子供』で第133回芥川龍之介賞2010年、『掏摸<スリ>』で第4回大江健三郎賞を受賞。同作の英訳 『The Thief』は、ウォール・ストリート・ジャーナル紙で、2012年のベスト10小説に選ばれ[1]2013年のロサンゼルス・タイムズ・ブック・プライズにもノミネートされた。『悪と仮面のルール』の英訳(EVIL AND THE MASK)はウォール・ストリート・ジャーナル紙の2013年のベストミステリーの10作品に選ばれる[2]。2014年、ノワール小説への貢献で、アメリカでデイビッド・グーディス賞を受賞[3]

人物

  • 重厚で陰鬱な作風とは対照的に、本人は明朗な性格である。交流のあるお笑い芸人・作家の又吉直樹がそのギャップについて尋ねてみたところ、「暗いことで人に迷惑をかけるの、やめようと思ったんだよ」と答えたという[5]
  • 漫画家の久世番子とは同郷で、小学校から高校までの同級生だった。2012年の対談では「中村文則」という名前がペンネームであることも語っている[6]。また、ダンスチームはむつんサーブのりきっちょとは大学時代からの友人である[7]。演劇ユニットunks[注釈 1][8][9]、ヴァイオリニスト島田真千子[10]、ロックバンドNON'SHEEP[11]などを自身のウェブサイトで紹介したり、役者の綾野剛との親交も深く[12]、他分野とのつながりも広い。
  • 小さい頃はほとんど本を読まず、高校生の時にものすごい孤独に陥って小説と出会った。 また、読書感想文も好きではなく[13]自分で勝手に話を作って「馬と少年を読んで」という題名で提出したことがある[14]
  • 愛知県東海市のふるさと大使である[15]
  • 初めて物語を書いたのは小学校一年生の授業で浦島太郎の続編として創作した『浦島次郎』で、浦島太郎の弟が亀に復讐する話だった。 同番組での「子供たちに薦める本は?」という質問に対して、よくある物語をただ読むのではなく、親が「君だったらどう変える?」「どう変えたら君好みになる?」というふうに問いかけるといいと答えた。続けて、強いて言うならと挙げた本は『グリム童話』で、日本の童話は勧善懲悪ものが多いから、海外の子供たちと同じものを読んでみるのも面白いのではないかと語った[14]

受賞歴

著書

  • 『銃』(2003年3月、新潮社/2006年6月、新潮文庫/2012年7月、 河出文庫
    • 初出:『新潮』2002年11月号
    • 河出文庫版には「火」(『新潮』2007年9月号)を併録
  • 『遮光』(2004年6月、新潮社、ISBN 978-4104588022 / 2011年1月、新潮文庫、ISBN 978-4101289533)
    • 初出:『新潮』2003年6月号
  • 『土の中の子供』(2005年7月、新潮社、ISBN 978-4104588046 / 2008年1月、新潮文庫、ISBN 978-4101289526)
    • 土の中の子供(初出:『新潮』2005年4月号)
    • 蜘蛛の声(初出:『新潮』2004年1月号)
  • 『悪意の手記』(2005年8月、新潮社、ISBN 978-4104588039 / 2013年2月、新潮文庫、ISBN 978-4101289540)
    • 初出:『新潮』2004年5月号
  • 最後の命』(2007年6月、講談社、ISBN 978-4062139595 / 2010年7月、講談社文庫、ISBN 978-4062767026)
    • 初出:『群像』2007年2月号
  • 『何もかも憂鬱な夜に』(2009年3月、集英社、ISBN 978-4087712872 / 2012年2月、集英社文庫、ISBN 978-4087467987)
    • 初出:『すばる』2008年11月号
  • 『世界の果て』(2009年5月、文藝春秋、ISBN 978-4163279404 / 2013年1月、文春文庫、ISBN 978-4167853013)
    • 月の下の子供(『文學界』2008年10月号)
    • ゴミ屋敷(『文學界』2008年2月号)
    • 戦争日和(『群像』2006年6月号、「白の世界」を改題)
    • 夜のざわめき(『文學界』2007年8月号)
    • 世界の果て(『文學界』2006年1月号)
  • 『掏摸〈スリ〉』(2009年10月、河出書房新社、ISBN 978-4309019413 / 2013年4月、河出文庫、ISBN 978-4309412108)
    • 初出:『文藝』2009年夏号
  • 悪と仮面のルール』(2010年6月、講談社、ISBN 978-4062163705 / 2013年10月、講談社文庫、ISBN 978-4062776790)
    • 書き下ろし
  • 『王国』(2011年10月、河出書房新社、ISBN 978-4309020693 / 2015年4月、河出文庫、ISBN 978-4309413600)
    • 初出:『文藝』2011年夏号
    • 『掏摸』の姉妹編
  • 『迷宮』(2012年6月、新潮社、ISBN 978-4104588053 / 2015年4月、新潮文庫、ISBN 978-4101289557)
    • 初出:『新潮』2012年1月号
  • 『惑いの森〜50ストーリーズ』(2012年9月、イースト・プレス、ISBN 978-4781608648 / 2018年1月、文春文庫、ISBN 978-4167909987)
    • アマゾン『MATOGROSSO』連載のショートストーリー28話に加え、22話を書き下ろし
  • 去年の冬、きみと別れ』(2013年9月、幻冬舎、ISBN 978-4344024571 /2016年4月、 幻冬舎文庫、ISBN 978-4344424678)
    • 書き下ろし
  • 『A』(2014年4月、河出書房新社、ISBN 978-4309023021 /2017年5月、 河出文庫、ISBN 978-4309415307)
    • 糸杉(『新潮』2013年1月号)
    • 嘔吐(『新潮』2009年10月号)
    • 三つの車両(『早稲田文学3』2010年2月)
    • セールス・マン(『文藝』2011年冬号)
    • 体操座り(『文藝』2013年春号)
    • 妖怪の村(『群像』2009年9月号)
    • 三つのボール(『新潮』2008年8月号)
    • 蛇(『小説現代』2007年3月号)
    • 信者たち(『小説現代』2008年5月号)
    • 晩餐は続く(『小説現代』2009年4月号)
    • A(『文藝』2014年夏季号)
    • B(『新潮』2014年6月号)
    • 二年前のこと(『群像』2011年12月号)
  • 『教団X』(2014年12月、集英社、ISBN 978-4087715903 / 2017年6月、集英社文庫、ISBN 978-4-08-745591-5)
    • 第一部『すばる』2012年5月号 - 6月号
    • 第二部『すばる』2013年8月号 - 9月号
  • 『あなたが消えた夜に』(2015年5月、毎日新聞出版、ISBN 978-4620108179 / 2018年11月、毎日文庫、ISBN 978-4620210230)
    • 初出:「毎日新聞」 2014年1月4日 - 11月29日
    • 文庫版のみ「あなたが消えた夜に 番外編」(「気分転換な夜に」(JT Webサイト「ちょっと一服ひろば」2016年11月)を改題の上、大幅に修正)を併録
  • 『私の消滅』(2016年6月、文芸春秋、ISBN 978-4163904719/2019年7月、文春文庫)
    • 初出:『文學界』2016年6月号
  • 『R帝国』(2017年8月、中央公論新社、ISBN 978-4120050008/ 2020年5月、中公文庫)
    • 初出:「読売新聞」2016年5月23日 - 2017年2月2日
  • 『その先の道に消える』(2018年10月、朝日新聞出版 ISBN 978-4022515735 / 2021年8月、朝日文庫
  • 『自由思考』(2019年7月、河出書房新社)※エッセイ集
  • 『逃亡者』(2020年4月、幻冬舎/2022年11月、幻冬舎文庫)
  • 『カード師』(2021年5月、朝日新聞出版/2023年9月、朝日文庫)
  •  『自由対談』 (2022年7月、河出書房新社) ※対談集
  •  『列』 (2023年10月、講談社)
    • 初出:『群像』2023年7月号

アンソロジー

単行本未収録作品

  • 着信(新潮社『週刊新潮』2006年2月 / 新潮文庫『空を飛ぶ恋 ケータイがつなぐ28の物語』2006年6月)
  • 糸のからまり(集英社『すばる』2015年1月号 / フリーペーパー『祝! デビュー15周年 中村文則の世界』)
  • 神(幻冬舎『小説幻冬』2016年11月号 - 2019年1月号)

メディアミックス

舞台

  • 掏摸〈スリ〉(2012年3月14日 - 18日、劇団サイバー∴サイコロジック、OFF OFFシアター)
  • 世界の果て(2012年8月28日 - 9月2日、unks、ギャラリー LE DECO)

映画

出演

注釈

  1. ^ 劇団文学座に所属している俳優の上田桃子・亀田佳明・斉藤祐一、 美術家の乗峯雅寛が企画・制作する演劇ユニットで、2012年8月に短編集『世界の果て』から「世界の果て」を舞台化した。

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ “The Best Fiction of 2012 : The Wall Street Journal's books editors pick the best fiction from the past year.”. The Wall Street Journal. (2012年12月14日). https://www.wsj.com/articles/SB10001424127887324481204578179520370339826 2020年11月6日閲覧。 
  2. ^ “『悪と仮面のルール』英訳版、WSJが選ぶ「ミステリトップ10」に選出”. 新文化. (2013年12月18日). http://www.shinbunka.co.jp/news2013/12/131219-01.htm 2020年11月6日閲覧。 
  3. ^ “中村文則さん:米の文学賞受賞”. 毎日新聞 (毎日新聞社). (2014年2月12日). オリジナルの2014年2月28日時点におけるアーカイブ。. https://archive.fo/upF0J 2020年11月6日閲覧。 
  4. ^ “作家の読書道 第152回:中村文則さん その2「大学の仲間が自分を変えた」”. WEB 本の雑誌 (2014年9月17日). 2021年3月24日閲覧。
  5. ^ “又吉×NEWS加藤×中村文則が“ストレス発散ツアー””. ORICON NEWS (2016年9月14日). 2021年3月24日閲覧。
  6. ^ “対談 中村文則×久世番子『文藝とか文豪のこと』”. Web新刊展望 (2012年11月15日). 2021年3月24日閲覧。
  7. ^ “芥川賞作家の中村文則氏と飲む”. りきっちょのさきっちょ (2009年9月4日). 2021年3月24日閲覧。
  8. ^ “はじめまして。”. unksのブログ (2009年4月1日). 2021年3月24日閲覧。
  9. ^ “来訪者”. unksのブログ (2012年8月15日). 2021年3月24日閲覧。
  10. ^ “何もかも憂鬱な夜に”. Violinist 島田真千子 ~音楽家の気持ち~ (2009年4月16日). 2021年3月24日閲覧。
  11. ^ “佐藤雄駿×中村文則 対談「“残党”が極めた先へ進むために」”. NON'SHEEP (2017年10月25日). 2021年3月24日閲覧。
  12. ^ “綾野剛、中村文則と初対面で「どっちが焼き魚のサンマをSっぽく食べられるか?」を勝負”. ダ・ヴィンチニュース (2015年8月26日). 2021年3月24日閲覧。
  13. ^ “作家の読書道 第152回:中村文則さん その1「人が嫌いだった少年時代」”. WEB 本の雑誌 (2014年9月17日). 2021年3月24日閲覧。
  14. ^ a b タイプライターズ〜物書きの世界〜』2020年5月2日放送分
  15. ^ “ふるさと大使(中村文則)/東海市”. www.city.tokai.aichi.jp. 2022年8月17日閲覧。
  16. ^ “中日文化賞 作家 中村文則氏”. 中日新聞 (中日新聞社). (2020年5月3日). https://www.chunichi.co.jp/article/63597?rct=c_culture_award 2020年5月31日閲覧。 
  17. ^ CORPORATION, KADOKAWA. “1と0と加藤シゲアキ”. KADOKAWAオフィシャルサイト. 2022年9月16日閲覧。
  18. ^ “村上虹郎×広瀬アリス×武正晴監督! 中村文則デビュー作「銃」映画化”. 映画.com (株式会社エイガ・ドット・コム). (2018年6月11日). https://eiga.com/news/20180611/3/ 2018年6月11日閲覧。 

外部リンク

  • 中村文則公式サイト
  • インタビュー - ブックサービスによる「土の中の子供」時のインタビュー
  • マトグロッソ - 2010年11月 - 2011年12月までショートストーリーを連載(現在はArchivesにそのうちの一部が収録されている)。
  • ブックショートインタビュー
  • Profile: Fuminori Nakamura, Red Circle(英語)
第26回野間文芸新人賞
 
野間文芸奨励賞
1941年-1946年
 
野間文芸新人賞
1970年代
1980年代
1990年代
2000年代
2010年代
2020年代
 第133回芥川龍之介賞
 
1930年代 - 1950年代(第1回 - 第42回)
1930年代
1940年代
1950年代
 
1960年代 - 1970年代(第43回 - 第82回)
1960年代
1970年代
 
1980年代 - 1990年代(第83回 - 第122回)
1980年代
  • 第83回 該当作品なし
  • 第84回 尾辻克彦「父が消えた」
  • 第85回 吉行理恵「小さな貴婦人」
  • 第86回 該当作品なし
  • 第87回 該当作品なし
  • 第88回 加藤幸子 「夢の壁」/唐十郎「佐川君からの手紙」
  • 第89回 該当作品なし
  • 第90回 笠原淳「杢二の世界」、高樹のぶ子「光抱く友よ」
  • 第91回 該当作品なし
  • 第92回 木崎さと子「青桐」
  • 第93回 該当作品なし
  • 第94回 米谷ふみ子「過越しの祭」
  • 第95回 該当作品なし
  • 第96回 該当作品なし
  • 第97回 村田喜代子「鍋の中」
  • 第98回 池澤夏樹「スティル・ライフ」/三浦清宏「長男の出家」
  • 第99回 新井満 「尋ね人の時間」
  • 第100回 南木佳士「ダイヤモンドダスト」/李良枝「由煕」
  • 第101回 該当作品なし
  • 第102回 大岡玲「表層生活」/瀧澤美恵子「ネコババのいる町で」
1990年代
 
2000年代 - 2010年代(第123回 - 第162回)
2000年代
2010年代
 
2020年代 - 2030年代(第163回 - )
2020年代
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