硫黄のオキソ酸

硫黄のオキソ酸（いおうのオキソさん、英: sulfur oxoacids）は、硫黄を含むオキソ酸である。最もよく知られているものに硫酸がある。硫黄は数種のオキソ酸を持つが、そのうちのいくつかは塩の形でしか知られていない（下の表を参照）。

硫黄のオキソ酸には例えば次のような特徴的な構造をもつものがある。

  • 硫黄を中心として酸素が四面体形に取り囲んだ構造
  • オキソ基が末端であるか、架橋している構造
  • ペルオキソ基が末端であるか、架橋している構造
  • S=S 結合が末端にある構造
  • (-S-)n 鎖がある構造

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オキソ酸 分子式 Sの酸化数 構造式 アニオン種 遊離酸
亜硫酸 H 2 SO 3 {\displaystyle {\ce {H2SO3}}} +IV 亜硫酸塩 SO 3 2 − {\displaystyle {\ce {SO3^{2-}}}} および亜硫酸水素塩 HSO 3 − {\displaystyle {\ce {HSO3^{-}}}} 遊離酸は得られていない。
硫酸 H 2 SO 4 {\displaystyle {\ce {H2SO4}}} +VI 硫酸塩 SO 4 2 − {\displaystyle {\ce {SO4^{2-}}}} および硫酸水素塩 HSO 4 − {\displaystyle {\ce {HSO4^{-}}}} 産業的に最も重要な化学種。
ペルオキソ一硫酸 H 2 SO 5 {\displaystyle {\ce {H2SO5}}} +VI ペルオキソ一硫酸塩 SO 5 2 − {\displaystyle {\ce {SO5^{2-}}}} 無色の結晶。融点45 ℃。
チオ硫酸 H 2 S 2 O 3 {\displaystyle {\ce {H2S2O3}}} 0, +IV チオ硫酸塩 S 2 O 3 2 − {\displaystyle {\ce {S2O3^{2-}}}} およびチオ硫酸水素塩 HS 2 O 3 − {\displaystyle {\ce {HS2O3^{-}}}} （アンモニウム塩が-80 ℃の無水メタノール中で生成[1]） 遊離酸は得られていない。
亜ジチオン酸 H 2 S 2 O 4 {\displaystyle {\ce {H2S2O4}}} +III 亜ジチオン酸塩 S 2 O 4 2 − {\displaystyle {\ce {S2O4^{2-}}}} 遊離酸は得られていない。
二亜硫酸 H 2 S 2 O 5 {\displaystyle {\ce {H2S2O5}}} +III, +V 二亜硫酸塩 S 2 O 5 2 − {\displaystyle {\ce {S2O5^{2-}}}} 遊離酸は得られていない。
ジチオン酸 H 2 S 2 O 6 {\displaystyle {\ce {H2S2O6}}} +V ジチオン酸塩 S 2 O 6 2 − {\displaystyle {\ce {S2O6^{2-}}}} 遊離酸は得られていない。
二硫酸 H 2 S 2 O 7 {\displaystyle {\ce {H2S2O7}}} +VI 二硫酸塩 S 2 O 7 2 − {\displaystyle {\ce {S2O7^{2-}}}} 融点36 ℃。発煙硫酸中で生成する。
ペルオキソ二硫酸 H 2 S 2 O 8 {\displaystyle {\ce {H2S2O8}}} +VI ペルオキソ二硫酸塩 S 2 O 8 2 − {\displaystyle {\ce {S2O8^{2-}}}} 無色の吸湿性結晶。融点65 ℃。
ポリチオン酸 H 2 SxO 6 {\displaystyle {\ce {H2SxO6}}} 0, +V ポリチオン塩 SxO 6 2 − {\displaystyle {\ce {SxO6^{2-}}}} x = 3, 4, 5, 6, 7, 8, 10, 12, 14 などが知られている。

脚注

  1. ^ Raman spectroscopic discovery of the hydrogenthiosulphate anion, HSSO3^{−}, in solid NH4HS2O3 Steudel Rr.; Prenzel A Zeitschrift für Naturforschung 1989,44, 12, 1499-1502

外部リンク

参考文献

  • Greenwood, Norman N.; Earnshaw, A. (1997), Chemistry of the Elements (2nd ed.), Oxford: Butterworth-Heinemann, ISBN 0-7506-3365-4