第6SS山岳師団

第6SS山岳師団
ノルト
6. SS-Gebirgs-Division
Nord
第6SS山岳師団 ノルトの師団章
創設 1941年2月
廃止 1945年5月
所属政体 ナチス・ドイツの旗 ナチス・ドイツ
所属組織 武装親衛隊
部隊編制単位 師団
兵科 山岳兵
主な戦歴 第二次世界大戦
(北極狐作戦)
(ラップランド戦争)
(北風作戦)
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フィンランドの雪原で作戦行動をとるスキー部隊。(1943年1月)

第6SS山岳師団 ノルト(だいろくSSさんがくしだん―、独:6. SS-Gebirgs-Division Nord)は、武装親衛隊の38個ある師団のひとつ。「ノルト」はドイツ語を意味する。その名のとおりフィンランド北中部の作戦に従事した。

歴史

ダッハウ強制収容所警備隊(親衛隊髑髏部隊)出身者から編成されたSS第6歩兵連隊とSS第7歩兵連隊から、1941年2月24日に、ノルウェーで、SS戦闘団ノルト(SS-Kampfgruppe Nord)として発足した。この部隊は、チェコ製兵器で装備しており、自動車化されていた。1941年7月に、フィンランド中部で行われる予定の北極狐作戦に参加するため、ノルウェー極北のキルケネス経由で、フィンランド中部のケミヤルヴィ地区へ移動したが、移動の途中、船上で火災事故を起こし100名近い将兵を失っている。不祥事の責任をとらされ、司令官は更迭となった。フィンランドで、ドイツから来た砲兵部隊を追加し、6月17日にはSS師団ノルトに格上げされ、XXXVI軍団(ハンス・ファイゲ騎兵大将)に配属された。新任の司令官は、部隊をレビューして、この部隊を戦闘に投入することには責任を持てない旨の報告書を軍団司令部に提出している。

ファイゲ大将は、この部隊を北極狐作戦の戦闘任務に使うのは、避けたかったが、フィンランドにあるドイツ軍部隊は限られていて、上級司令部のニコラウス・フォン・ファルケンホルスト上級大将が戦闘任務で使うことを命じたので、北極狐作戦の第一段階サッラ攻略の一翼を担わせることになった。サッラ攻略作戦は、7月1日に始まった。部隊は、ロバニエミ=サッラ道路を進んで、サッラ市街をやりすごし、サッラを包囲する南翼を担当する予定であったが、ソ連軍の頑強な抵抗で、部隊は、パニックをおこして潰走し、軍団司令部の後方まで後退する様であった。師団長のデメルフーバーは7月2日に、彼の部隊は、戦闘任務に適していないと宣告し、部隊は前線任務から外されたが、7月1日だけで部隊は600人を失った。

ファイゲ大将はこの部隊を戦闘任務から外すことにしたが、SS部隊の無様な戦いぶりは、遠くヒトラーの耳にも達して不機嫌にさせたが、ヒトラーは戦闘任務につけるよう命令した。

北極狐作戦は、更に南部のクーサモ、スオムサラミ地区で、フィンランドIII軍団(ヤルマル・シーラスヴオ少将)によっても作戦行動が行われていたが、7月から8月の間に、部隊は、徐々に大隊単位でIII軍団の指揮下に移された。9月に残っていた偵察大隊をIII軍団に移すと、師団全体がIII軍団の指揮下に入ったが、III軍団は、SS師団をばらして、2つのタスクグループと軍団予備のもとで使おうとした。ドイツ軍は、師団を師団として使うよう要求したので、シーラスヴオとファルケンホルストの間で論争になり、マンネルハイムまで巻き込む騒動になったが、ドイツ軍少将がフィンランド軍大佐の指揮をうけることは、ファルケンホルストは絶対容認できないので譲歩しなかった。これは大戦中、SS師団が他国軍人の指揮下に入った唯一の例である。そして1942年6月にSS山岳師団ノルト(SS-Gebirgs-Division Nord)となり、さらに1943年10月に第6SS山岳師団ノルトと改称された。馬3200頭、人員2万10000人を擁した。

その後はフィンランド中部のケステンガ地区で1年近くの長きにわたり塹壕戦を展開した。フィンランドがソ連側についた(ラップランド戦争)1944年9月以降は、ノルウェー北部へ撤退し、さらに1944年12月デンマークへ送られた。デンマークで「北風作戦」に参加し、さらに1945年3月にはトリーア付近で連合国軍と戦った。3月24日、ルール地方包囲を目指すアメリカ軍第一軍の攻撃を受けて事実上壊滅した。

司令官

戦闘序列

  • 1941年6月 「ノルト」戦闘集団 (Kampfgruppe "Nord")
    • 第6SS歩兵連隊 (SS-Infanterie-Regiment 6)
    • 第7SS歩兵連隊 (SS-Infanterie-Regiment 7)
    • 第2SS砲兵大隊 (2 SS-Artillerie-Abteilungen)
    • SS偵察大隊 (SS-Aufklärungs-Abteilung)
    • SS通信大隊 (SS-Nachrichten-Abteilung)
    • SS通信中隊 (SS-Pionier-Kompanie)
  • 1941年9月 SS師団「ノルト」 (SS-Division "Nord")
    • 第6SS歩兵連隊 (SS-Infanterie-Regiment 6)
    • 第7SS歩兵連隊 (SS-Infanterie-Regiment 7)
    • 第9SS歩兵連隊 (SS-Infanterie-Regiment 9)
    • SS師団「ノルト」偵察大隊 (Aufklärungs-Abteilung SS-Division "Nord")
    • SS砲兵連隊「ノルト」 (SS-Artillerie-Regiment "Nord")
    • SS師団「ノルト」高射砲大隊 (Flak-Abteilung SS-Division "Nord")
    • SS師団「ノルト」工兵大隊 (Pionier-Bataillon SS-Division "Nord")
    • SS師団「ノルト」通信大隊 (Nachrichten-Abteilung SS-Division "Nord")
    • SS師団「ノルト」師団輸送指導部 (Divisions-Nachschubführer SS-Division "Nord")
  • 1943年10月 第6SS山岳師団「ノルト」 (6. SS-Gebirgs-Division "Nord")
    • 第11SS山岳猟兵連隊「ラインハルト・ハイドリッヒ」 (SS-Gebirgs-Jäger-Regiment 11 "Reinhard Heydrich")
    • 第12SS山岳猟兵連隊「ミハエル・ガイスマイル(de:Michael Gaismair)」 (SS-Gebirgs-Jäger-Regiment 12 "Michael Gaißmair")
    • 第6SS山岳砲兵連隊 (SS-Gebirgs-Artillerie-Regiment 6)
    • 第5SS(自動車化)歩兵連隊 (SS-Infanterie-Regiment (mot) 5)
    • 第9SS歩兵大隊 (SS-Infanterie-Bataillon 9)
    • 第506SS装甲擲弾兵大隊 (SS-Panzer-Grenadier-Bataillon 506)
    • 第6SS(自動車化)狙撃大隊「ノルト」 (SS-Schützen-Bataillon "Nord" (mot) 6)
    • 第6SS突撃砲台 (SS-Sturmgeschütz-Batterie 6)
    • 第6SS高射砲大隊 (SS-Flak-Abteilung 6)
    • 第6SS山岳(自動車化)偵察大隊 (SS-Gebirgs-Aufklärungs-Abteilung (mot) 6)
    • 第6SS山岳通信大隊 (SS-Gebirgs-Nachrichten-Abteilung 6)
    • 第6SS山岳工兵大隊 (SS-Gebirgs-Pionier-Bataillon 6)
    • SSスキー(猟兵)大隊「ノルゲ」 (SS-Ski(Jäger)-Bataillon "Norge")
    • 第6SS整備大隊 (SS-Instandsetzungs-Abteilung 6)
    • 第6SS供給中隊 (SS-Bekleidungs-Kompanie 6)
    • 第6SS山岳医療大隊 (SS-Gebirgs-Sanitäts-Abteilung 6)
    • 第6SS獣医師中隊 (SS-Veterinär-Kompanie 6)
    • 第6SS山岳戦時報道班 (SS-Gebirgs-Kriegsberichter-Zug 6)
    • 第6SS野戦憲兵班 (SS-Feldgendarmerie-Zug 6)
    • SS宣伝中隊 (ノルウェー) (SS-og-Polit-Kompanie - norwegische Einheit)
    • 第6SS運営大隊 (SS-Wirtschafts-Bataillon 6)
    • 第6SS行政大隊 (SS-Verwaltungstruppen-Abteilung 6)
    • 第6SS猟犬大隊 (SS-Feldhundetruppen-Abteilung 6)
    • 第6SS野戦補充大隊 (SS-Feldersatz-Bataillon 6)
    • 第6SS発煙大隊 (SS-Werfer-Abteilung 6)
    • 第6SS師団附属小隊 (SS-Divisionstruppen 6)

関連項目

出典

参考文献

  • Lunde. Henrik O. (2011). Finland's War of Choice. Havertown PA,USA: Casemate Publishers. ISBN 978-1-61200-037-4 
   

第1SS装甲師団 ライプシュタンダーテ・SS・アドルフ・ヒトラー
第2SS装甲師団 ダス・ライヒ
第3SS装甲師団 トーテンコプフ
第4SS警察装甲擲弾兵師団
第5SS装甲師団 ヴィーキング
第6SS山岳師団 ノルト
第7SS義勇山岳師団 プリンツ・オイゲン
第8SS騎兵師団 フロリアン・ガイエル
第9SS装甲師団 ホーエンシュタウフェン
第10SS装甲師団 フルンツベルク
第11SS義勇装甲擲弾兵師団 ノルトラント
第12SS装甲師団 ヒトラーユーゲント
第13SS武装山岳師団 ハンジャール(クロアチア第1)
第14SS武装擲弾兵師団 (ウクライナ第1)
第15SS武装擲弾兵師団 (ラトビア第1)
第16SS装甲擲弾兵師団 ライヒスフューラー・SS
第17SS装甲擲弾兵師団 ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン
第18SS義勇装甲擲弾兵師団 ホルスト・ヴェッセル
第19SS武装擲弾兵師団 (ラトビア第2)
第20SS武装擲弾兵師団 (エストニア第1)
第21SS武装山岳師団 スカンデルベク(アルバニア第1)

第22SS義勇騎兵師団
第23SS武装山岳師団 カマ(クロアチア第2)
第23SS義勇装甲擲弾兵師団 ネーデルラント(オランダ第1)
第24SS武装山岳猟兵師団
第25SS武装擲弾兵師団 フニャディ(ハンガリー第1)
第26SS武装擲弾兵師団 (ハンガリー第2)
第27SS義勇擲弾兵師団 ランゲマルク(フラマン第1)
第28SS義勇擲弾兵師団 ヴァロニェン(ワロン第1)
第29SS義勇擲弾兵師団 RONA(ロシア第1)
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第32SS義勇擲弾兵師団 1月30日
第33SS武装騎兵師団 (ハンガリー第3)
第33SS武装擲弾兵師団 シャルルマーニュ(フランス第1)
第34SS義勇擲弾兵師団 ラントシュトーム・ネーダーラント(オランダ第2)
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第37SS義勇騎兵師団
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