紀元前12世紀

千年紀: 紀元前2千年紀
世紀: 前13世紀 - 紀元前12世紀 - 前11世紀
デルタの戦い。画像はこの戦いで「海の民」と戦うエジプト第20王朝のファラオ・ラムセス3世メディネト・ハブ(英語版)ラムセス3世葬祭殿(英語版)の浮き彫り)。
ペリシテ人。「海の民」を構成していたと伝わる民族で、この時期までには地中海東岸に大きな勢力を伸長していた。ミケーネⅢC式土器と同質の土器がペリシテ人の遺跡から出土するのが興味深い。画像はイスラエルアシュドドペリシテ人文化博物館が所蔵するペリシテ人の土器一式。
ウガリット遺跡。楔形文字を表音文字化したウガリット文字粘土板が大量に出土したことでも知られる。画像は前1200年のカタストロフで廃墟となった宮殿の入り口。
トロイア遺跡。シュリーマンらによりホメロスの叙事詩に語られていた都市イリオンと推定されたのがダーダネルス海峡に近接したヒサルリク(英語版)の遺構であった。この遺構の第7層が紀元前12世紀に相当し、この時期何らかの大きな動きがあったものと考えられる。
オルメカ巨石人頭像(カベサ・オルメカ)。メソアメリカ最古のオルメカ文化ではサン・ロレンソ一帯の繁栄が見られた。ラ・ベンタに繁栄の中心が移る紀元前900年代までをサン・ロレンソ相と呼ぶ。画像はベラクルス州立大学附属のハラパ人類学博物館所蔵のサン・ロレンソ1号の巨石人頭像。

紀元前12世紀(きげんぜんじゅうにせいき)は、西暦による紀元前1200年から紀元前1101年までの100年間を指す世紀

出来事

紀元前1200年代

紀元前1190年代

  • 紀元前1195年頃 - 地中海東岸の諸都市が「海の民」に破壊される。
  • 紀元前1194年 - トロイア戦争の始まり(伝承に基づくエラトステネスの計算による)。
  • 紀元前1192年頃 - 殷の武丁が死去(紀元前1250年頃 - (夏商周年表プロジェクトによる))。
  • 紀元前1190年頃
    • ヒッタイト王国の都ハットゥシャが陥落し統治機構は崩壊、同国は滅亡する。
      • 最後のヒッタイト王シュッピルリウマ2世を称えるニシャンタシュ(ドイツ語版)碑文が陥落直前に作られるが、王の記録はこれで途絶える。
      • カルケミシュタバル(英語版)ではヒッタイト残存勢力が再編成され(シロ・ヒッタイト国家群(英語版))、リュディア王国もその流れを汲む。
      • トフマ川流域のメリド(英語版)を中心にルウィ人系のカンマヌ王国が成立、アルスランテぺ(Arslantepe)遺跡がその地に比定されている。
      • その後アナトリア中央部にはフリギアが進出し、ゴルディオンを中心として栄える。
    • 後期ミケーネ文明(後期ヘラディック期III B)の終焉。
      • ミケーネ・ティリンス・ピュロス・ミデアの諸宮殿が崩壊する。
      • 続くヘラディック期III Cには集落は激減。線文字Bの記録も途絶える。

紀元前1180年代

紀元前1170年代

  • 紀元前1178年4月16日 - ギリシア各地で皆既日食
    • アメリカ・ロックフェラー大学のマルセロ・マグナスコ(Marcelo Magnasco)と、アルゼンチンのラプラタ天文台のコンスタンチノ・バイコウジス(Constantino Baikouzis)の研究では、『オデュッセイア』の記述にある、トロイアから帰還したオデュッセウスが故郷イタケーで遭遇した皆既日食は、この時のものだと推定している。
  • 紀元前1178年頃 - エジプト王ラムセス3世がデルタの戦い(英語版)で「海の民」連合軍に勝利する。
    • 「海の民」としてペリシテ人チェケル人・シェケレシュ人・デネン人・ウェシェシュ人の部族の名が挙げられている。
  • 紀元前1175年頃 - エジプト王ラムセス3世がリビュア人の侵入を再び撃退。

紀元前1150年代

  • 紀元前1159年頃 - アイスランドヘクラ火山第三期噴火(英語版)
  • 紀元前1158年頃 - エラム王シュトルク・ナフンテ1世がバビロンを陥落させカッシート朝を滅ぼす。
    • ハンムラビ法典の石碑もこの時スサへ持ち出され、後世スサ遺跡で考古学者により発見される。
    • この時期が中期エラム王国の最盛期で、エシュカフト・イ・サルマン(英語版)の最古期の浮き彫りが作られる。
    • エラム人退却の後にバビロンにはマルドゥク・カビト・アヘシュ(英語版)王によりイシン第2王朝(バビロン第4王朝)が成立。
  • 紀元前1157年頃 - ラムセス3世支配のエジプトのデール・エル・メディーナで建築職人によるストライキが発生(記録上最古のストライキ)。
  • 紀元前1155年頃 - エジプト王ラムセス3世が暗殺され、暗殺の首謀者である王子ペンタウアーが処刑される。

紀元前1140年代

  • 紀元前1141年頃 - エジプト王ラムセス5世死去。ミイラの調査からラムセス5世は世界最古の天然痘の罹患者だったことが判明している。

紀元前1120年代

  • 紀元前1126年頃 - 伝承ではアテナイ王テュモエテスの死によりテセウス王家が断絶。アテナイ王にピュロス王家のメラントスが即位。
  • 紀元前1125年頃 - イシン第2王朝のネブカドネザル1世王が即位( - 紀元前1104年)。

紀元前1110年代

  • 紀元前1115年頃 - アッシリア王ティグラト・ピレセル1世が即位( - 紀元前1077年頃)。
    • 即位から5年間は領土拡大政策により、旧ミタンニ領のフルリ人を服属させ、地中海まで進軍。
  • 紀元前1112年頃 - 殷の文丁が即位。文丁は帝乙比干箕子の父でもある。
  • 紀元前1110年頃 - ラムセス9世支配下のエジプトで王家の谷が盗掘され、調査により「墓泥棒のパピルス(英語版)」が記録される。

紀元前1100年代

人物

伝説・架空のできごと

参考文献

  • エリック・H・クライン著 安原和見訳 『B.C.1177 - 古代グローバル文明の崩壊(英語版)筑摩書房、2018年。ISBN 978-4-480-85816-0。

関連項目

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