脇謙二

 脇 謙二 九段
平成29年11月、姫路市で行われた人間将棋にて
名前 脇 謙二
生年月日 (1960-08-10) 1960年8月10日(63歳)
プロ入り年月日 1979年7月16日(18歳)
棋士番号 138
出身地 大阪府大阪市
所属 日本将棋連盟(関西)
師匠 高島一岐代九段
段位 九段
棋士DB 脇 謙二
戦績
一般棋戦優勝回数 3回
順位戦クラス B2級(22期)
2024年4月11日現在
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脇 謙二(わき けんじ、1960年8月10日 -)は、将棋棋士。棋士番号138。大阪府大阪市出身。高島一岐代九段門下。竜王戦1組通算7期。

棋歴

1975年に5級で奨励会入り。1977年初段。1979年に四段となりプロ入りを果たす。

1980年、第22期王位戦で挑戦者決定リーグ入りを果たす。1981年、第8期棋王戦で本戦入り。1982年、第24期王位戦でもリーグ入りを果たす。

1983年、第41期順位戦のC級2組にて10戦全勝の成績でC級1組昇級を果たすと、翌年度の第42期でも9勝1敗の好成績でB級2組への連続昇級を果たす。このころは若手有望棋士として将来を期待されていた。

第43期B級2組では7勝3敗、第44期でも8勝2敗の好成績を残すが、惜しくも昇級は果たせず。以降も勝ち越し続けるものの、B級2組に留まることとなる。しかし、1986年度の第13期棋王戦では本戦準決勝に進出する活躍をした。1988年度の第47期順位戦で8勝2敗の好成績を残したものの、順位の関係で不運にも昇級を逃した。

1990年度、第3期竜王戦2組で準優勝を果たし、1組昇級を果たす。1992年には第5期竜王戦1組優勝の快挙を果たし、本戦でも準決勝にまで進出した。後に脇はフリークラス宣言をしたことで、第36期竜王戦までの竜王戦1組の優勝経験者のうち順位戦A級・B級1組の在籍経験がない唯一の棋士となった。

1992年度の第51期順位戦B級2組では5勝5敗となり、同組昇級以来続いていた連続勝ち越しが8期でストップした。1993年に第6期竜王戦1組で初戦から連敗し2組降級となる。1994年の第7期竜王戦ですぐ1組復帰を果たすが、同年度の第53期順位戦B級2組では4勝6敗となり初めて負け越しとなった。以降、竜王戦では1組に在籍し続け、順位戦B級2組では大きく勝ち越したり負け越したりしない状態が続いた。

1998年、第11期竜王戦で2組に降級。1999年、第12期竜王戦でも振るわず3組に連続降級となる。同年度、第58期順位戦B級2組で8勝2敗の好成績を残すがまたも昇級ならず。2001年、第14期竜王戦3組で準優勝を果たし2組に復帰するが、翌年の2002年に再度3組降級。そして、2003年、第61期順位戦B級2組で1勝9敗となり自身初となる降級点がつく。翌年度の第62期に7勝3敗と勝ち越し一度降級点を消滅させるが、再翌年度の第63期では1勝9敗と低迷し再び降級点。2006年、第64期でも1勝9敗で連続降級点となり、C級1組に降級した。

2008年、第21期竜王戦3組で初戦から連敗し4組に降級。2009年、第22期竜王戦4組で準決勝まで勝ち進み3組復帰まで後1勝とするが、準決勝、昇級者決定戦で敗れ、定員調整の昇級者決定戦のチャンスも逃し3組復帰はならなかった。2010年、第23期竜王戦4組で初戦から連敗し5組に降級。2011年の第24期竜王戦5組でも1勝も出来ず3連敗し、6組に降級した。2013年、第71期順位戦C級1組で10戦全敗となり、C級1組で初となる降級点がついた。翌年度の第72期は5勝5敗の五分としたもの、その翌年度の2015年、第73期で3勝7敗となり、二度目の降級点でC級2組に降級した。

2015年度(第57期)王位戦予選では、当年度各棋戦で高勝率を上げた斎藤慎太郎を破るなど4連勝し、自身21期ぶりとなるリーグ入りを決めた。白組リーグでは残留はできなかったものの、叡王戦優勝者の山崎隆之八段を破るなどベテラン健在ぶりを見せた[1]。ただし当年度は、王位戦以外の全てのトーナメント系棋戦(順位戦以外の全棋戦)で初戦負けという偏った成績に終わった。

順位戦C級2組は第76期(2017年度)1勝9敗、第77期(2018年度)2勝8敗で2期連続降級点を取り、2019年度にフリークラス宣言を行った。以降、順位戦以外の公式戦参加は、満65歳を迎える2025年度までとなる。

2021年4月1日、フリークラス規定により九段に昇段。田丸昇に続き史上2人目である。順位戦B級2組以下で九段に昇段した棋士には、屋敷伸之と渡辺明がいるが、両者とも後にA級に昇級しており、B級1組以上の在籍経験がないまま、現役九段での引退(見込み)は、脇が史上初めてとなる。

棋風

  • かつては居飛車党の棋士で横歩取り△3三桂戦法や矢倉戦を得意とし、相居飛車の相矢倉で後手△6四角に▲4六角とぶつける脇システムを考案した。
  • 2010年頃から突如、振り飛車を多用する棋風に転じ、周囲を驚かせた。相手が振り飛車党の場合も、相振飛車にすることが多い。
  • 棋風は激しい攻め将棋で、対局時も闘志を態度であらわす棋士の一人。対局中に扇子や拳骨で自分の頭を叩き気合を入れる事がある[2]
  • 順位戦の全勝と全敗の両方を記録した初の事例となった(第41期C級2組を10戦全勝、第71期C級1組を10戦全敗)。

人物

  • 妻は囲碁棋士の荒木真子四段。
  • 2017年5月の棋士総会で日本将棋連盟常務理事(担当:関西本部総務・渉外部)に選出[3]、2019年6月からは同専務理事となっている。2023年の新語・流行語大賞で「観る将」がトップテン入りした際には、受賞者の日本将棋連盟を代表として専務理事の脇が表彰式に出席した[4]
  • 野球では埼玉西武ライオンズのファン。自ら「西鉄ライオンズ時代から応援している」と語るほどの熱狂的ファンである[5]

昇段履歴

  • 1975年00月00日 : 5級 = 奨励会入会
  • 1977年00月00日 : 初段
  • 1979年07月16日 : 四段 = プロ入り
  • 1983年04月01日 : 五段(順位戦C級1組昇級、通算88勝59敗)
  • 1984年04月01日 : 六段(順位戦B級2組昇級、通算117勝76敗)
  • 1990年10月01日 : 七段(勝数規定 /六段昇段後公式戦150勝、通算267勝190敗)
  • 2000年11月16日 : 八段(勝数規定 /七段昇段後公式戦190勝、通算457勝353敗)
  • 2021年04月01日 : 九段(フリークラス昇段規定、通算645勝695敗)[6][7]

主な成績

棋戦優勝

合計3回

将棋大賞

  • 第47回(2019年度)升田幸三賞特別賞「脇システム」

在籍クラス

竜王戦と順位戦のクラスについては「将棋棋士の在籍クラス」を参照
順位戦・竜王戦の在籍クラスの年別一覧
開始
年度
(出典)順位戦
(出典)
(出典)竜王戦
(出典)
名人 A級 B級 C級 0 竜王 1組 2組 3組 4組 5組 6組 決勝
T
1組 2組 1組 2組
1980 39 C223 4-6
1981 40 C220 6-4
1982 41 C209 10-0
1983 42 C117 9-1
1984 43 B219 7-3
1985 44 B205 8-2
1986 45 B202 6-4
1987 46 B206 6-4 1 2組 --
1988 47 B206 8-2 2 2組 --
1989 48 B202 6-4 3 2組 --
1990 49 B204 6-4 4 1組 --
1991 50 B206 6-4 5 1組 --
1992 51 B207 5-5 6 1組 --
1993 52 B209 7-3 7 2組 --
1994 53 B203 4-6 8 1組 --
1995 54 B213 6-4 9 1組 --
1996 55 B206 5-5 10 1組 --
1997 56 B212 3-7 11 1組 --
1998 57 B218 4-6 12 2組 --
1999 58 B214 8-2 13 3組 --
2000 59 B203 5-5 14 3組 --
2001 60 B210 4-6 15 2組 --
2002 61 B214x 1-9 16 3組 --
2003 62 B222+ 7-3 17 3組 --
2004 63 B206x 1-9 18 3組 --
2005 64 B223*x 1-9 19 3組 --
2006 65 C102 2-8 20 3組 --
2007 66 C124 5-5 21 3組 --
2008 67 C114 3-7 22 4組 --
2009 68 C125 7-3 23 4組 --
2010 69 C108 6-4 24 5組 --
2011 70 C109 4-6 25 6組 --
2012 71 C124x 0-10 26 6組 --
2013 72 C134* 5-5 27 6組 --
2014 73 C119*x 3-7 28 6組 --
2015 74 C201 3-7 29 6組 --
2016 75 C238 4-6 30 6組 --
2017 76 C235x 1-9 31 6組 --
2018 77 C244*x 2-8 32 6組 --
2019 78 F宣 33 6組 --
2020 79 F宣 34 6組 --
2021 80 F宣 35 6組 --
2022 81 F宣 36 6組 --
2023 82 F宣 37 6組 --
2025年度まで現役継続
順位戦、竜王戦の 枠表記 は挑戦者。右欄の数字は勝-敗(番勝負/PO含まず)。
順位戦の右数字はクラス内順位 ( x当期降級点 / *累積降級点 / +降級点消去 )
順位戦の「F編」はフリークラス編入 /「F宣」は宣言によるフリークラス転出。
竜王戦の 太字 はランキング戦優勝、竜王戦の 組(添字) は棋士以外の枠での出場。

著書

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ 第57期王位戦白組リーグ・携帯中継、中継ブログなど
  2. ^ 2010.07.12放送 阿久津主税七段vs脇 謙二八段NHK杯1回戦
  3. ^ 連盟公式web「日本将棋連盟新役員のお知らせ」(May 29, 2017 19: 00)
  4. ^ 「2023 ユーキャン新語・流行語大賞」に「観る将」が選出
  5. ^ 第1譜『後悔』 金井恒太六段―高見泰地六段:第3期叡王戦 決勝七番勝負 第2局 観戦エッセイ - ニコニコニュースORIGINAL・2018年5月9日
  6. ^ 「昇段・引退・休場棋士のお知らせ|将棋ニュース」『日本将棋連盟』2021年4月1日。
  7. ^ 2020年度の将棋界#年度成績一覧『令和3年版 将棋年鑑 2021』82頁。

関連項目

外部リンク

  • 日本将棋連盟プロフィール
日本将棋連盟所属棋士 (現役棋士 および 2024年度引退棋士)
タイトル
保持者

永世称号 襲位者0
永世称号 有資格者

九段
八段
七段
六段
五段
四段
2024年度
引退棋士
 七段  伊奈祐介(2024年5月10日引退)
2024年5月10日時点 / 日本将棋連盟所属 / は2024年度の昇段 / 引退棋士の()は引退日 / 詳細は将棋棋士一覧を参照
第37期竜王戦ランキング戦
竜王
1組
(定員16名)
2組
(定員16名)
3組
(定員16名)
4組
(定員32名)
5組
(定員32名)
6組
(参加70名)
女流棋士
アマチュア
  • 慶田義法アマ
  • 竹内広也アマ
  • 小林康太郎アマ
  • 中川慧梧アマ
  • (出場4名)
奨励会員
次期から出場
★挑戦者 / △次期昇級 / ▼次期降級 / 初参加棋士(棋士として初参加) / 詳細については将棋棋士の在籍クラスを参照。
名人
A級
B級1組
B級2組
C級1組
C級2組
フリー
クラス
宣言
棋戦限定
出場
2024年度
引退者

先頭の数字は順位(名人、フリークラス以外)/ フリークラスの数字は在籍可能残り年数(2024年度開始時点)
B級2組 - C級2組の * は降級点の数(B級2組・C級1組は降級点 2で降級、C級2組は降級点 3で降級)
詳細については将棋棋士の在籍クラスを参照
 
一般棋戦優勝 3回
早指し新鋭戦 優勝 2回
早指し
将棋選手権
優勝者
1970年代
1980年代
1990年代
2000年代
早指し
新鋭戦
優勝者
1980年代
1990年代
2000年代
関連項目
2002年(第36回)で終了。
若獅子戦 優勝 1回
優勝者
関連項目
四段以上の棋士で年齢の若い順に13人を選抜して参加。1991年(第14回)で終了。
 
将棋大賞
升田幸三賞 受賞 特別賞 1回
1990年代
2000年代
2010年代
2020年代
前年度の活躍が対象。< >は特別賞。
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