アルファロメオ・スパイダー

スパイダーSpider)は、イタリアの自動車メーカー・アルファロメオがかつて製造していたオープンカーである。

1993年までのモデルはアルファロメオ・ジュリアのシャシーを用いた独自のデザインのモデルであったが、その後のモデルはアルファロメオ・GTVアルファロメオ・ブレラのルーフを切り取ったオープン版で、キャビン以外はベース車とほぼ共通設計である。各車ともカロッツェリアピニンファリーナの車体製造となっている。

初代(1966年 - 1993年)

アルファロメオ・スパイダー
シリーズ1(ボートテール)
シリーズ2(カムテール)
シリーズ3
概要
販売期間 1966年 - 1993年
デザイン ピニンファリーナ
ボディ
ボディタイプ 2ドア オープンカー
駆動方式 FR
系譜
先代 アルファロメオ・ジュリエッタ スパイダー
後継 アルファロメオ・スパイダー(916)
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アルファロメオ・ジュリア(105系)のオープンモデルとして、ジュリア・スプリントGTVの1,570cc/109馬力エンジンを与えられて1966年のジュネーブ自動車ショーでデビュー。ジュリアの名は与えられず、「アルファロメオ1600スパイダー・デュエット」と命名された。デザインは先代のアルファロメオ・ジュリエッタ・スパイダー同様、カロッツェリアピニンファリーナであったが、息子のセルジオに後を譲る直前のバッティスタ・ファリーナが手がけた最後のプロジェクトであった。デュエットのデザインの源流は1959年のプロトタイプ「3500スパイダー・スーペルスポルト」、1961年の「ジュリエッタSSスパイダー・スペチアーレ・エアロディナミカ」まで遡ることができる。

1967年にはベースが1750に変わり、1,779cc/118馬力エンジンとなり「1750スパイダー・ヴェローチェ」に改称された。1968年にはGT1300ジュニアと同じ1,290cc/89馬力の「スパイダー1300ジュニア」が追加された。1750とはヘッドライトのアクリル製カバーやホイールキャップがないことで識別される。このモデルは1967年の映画「卒業」で、ダスティン・ホフマン演じる主人公の愛車として使われ、映画のヒットとともに広く知られることとなった。

1970年には大幅なマイナーチェンジを受けた。最大の変化は、ボディ後端が下がった従来のボートテールから直線的なカムテールに変更されたことであり、トランクスペースが拡大された。また、フロント周りのデザイン変更、より直立した大型のウィンドースクリーン、吊り下げ式のペダル、クラッシュパッドが入った新しいダッシュボードなども与えられた。

1971年には1750が1,962ccの2000に発展したことを受けて、「2000スパイダー・ヴェローチェ」が1750に代わって登場した。翌1972年には1300と2000の中間車種として、1,600cc版が「スパイダー1600ジュニア」として、1300と同じ簡素な外装で再登場した。1974年には一時的に、ルーフの一部のみが脱着式の「スパイダー・タルガ」が2,000台弱生産された。

1300は1974年に、2000は1975年に、小さなリアシートが追加されて2+2化された。1300は1977年に生産中止された。また、1974年以降の対米輸出車には大きなゴム製の衝撃吸収バンパーが装備されたほか、排気ガス対策により性能が大幅に低下した。当時の日本へ輸入されたのもこの仕様である。

1983年、スパイダーには13年ぶりの大きなマイナーチェンジが施された。フロントグリルと一体化した大型バンパー、リアスポイラーと一体化した大型リアバンパー、大きなテールランプ、一新されたダッシュボードなどが装備された。車名は「アルファロメオ・スパイダー」に単純化された。エンジンは1,570cc/104馬力と1,962cc/128馬力の二種類があった。

1986年には流行のエアロパーツを装備し、1,962cc/132馬力に強化された「クアドリフォリオ・ヴェルデ」(Quadrifoglio Verde) と、シンプルな「グラデュエイト」(映画からの命名)にグレードが分けられた。シリーズ3から本革シートやエアコンも装備可能となり、すでにスポーツカーとしてはエンジン、シャシーとも時流に遅れていたことから、雰囲気とスタイルを楽しむパーソナルカーとしての性格が強まっていく。

シリーズ4

1990年に最後のマイナーチェンジ。従来の対米輸出車に加え、EU向けに燃料噴射エンジンが与えられた。ノーズとテールを中心にスタイリングが改められ、特にテールデザインはヒット作となっていた164と共通のイメージとなった。ダッシュボードは豪華なものに一新され、パワーステアリングが標準装備となり、運転席エアバッグも装備された。3速オートマチックも選択可能となった。エンジンは1,962cc/126馬力(対米仕様は120馬力)となり、グレードは基本モデルの「スパイダー」と、軽合金ホイールや本革シート・エアコンが与えられた上級版「スパイダー・ヴェローチェ」の2種があった。

1993年をもって、27年間続いた初代モデルは生産を終了した。なお、シリーズ4スパイダーにはイタリア、ギリシャ、ポルトガルを販売地域とする1,600cc/109馬力キャブレターエンジンを搭載するモデル[1]が存在する。

2代目(1994年 - 2006年)

2代目
詳細は「アルファロメオ・GTV」を参照

形式名916。デザインと車体製造はピニンファリーナで、当時の開発責任者エンリコ・フミアの作品である。プラットフォームはフィアット・ティーポなどと同じ「ティーポ2」となり、横置きエンジンの前輪駆動車となった。

3代目(2006年 - 2010年)

3代目
詳細は「アルファロメオ・ブレラ」を参照

形式名939。GTVのモデルチェンジに伴い、スパイダーも変更された。ブレラはジョルジェット・ジウジアーロのデザインであるが、オープンモデル化はアルファロメオとピニンファリーナの共同作業で行われ、生産は引き続きピニンファリーナが担当する。V6エンジン車にはQ4と呼ばれるフルタイム四輪駆動システムが与えられ、本国ではディーゼルエンジン車も存在する。

日本への輸入

伊藤忠オート日英自動車大沢商会から現在の「アルファロメオジャパン」に至る各社が継続的に輸入販売を行っている。1980年代半ば、一時的に輸入代理店がなくなり、並行輸入が行われていた。

出典

[脚注の使い方]
  1. ^ ORIGINAL ALFA ROMEO SPIDER クリス・リーズ著 MBI刊 2001年発行(115ページ)

参考文献

  • Gazoo名車館 1966年 アルファロメオ 1600スパイダー・デュエット
  • Goo-net クルマカタログ・アルファスパイダー グレード一覧
(← 1910-1949年)アルファロメオの車種タイムライン(1950–1970年代)(1980年代以降 →)
種類 1950年代 1960年代 1970年代
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9
大衆車 ドーフィン
(ライセンス生産)
アルファスッド
小型車 ジュリエッタ
(初代・750/101系)
ジュリア ジュリエッタ
(二代目・116系)
1750 アルフェッタ
高級車 1900 2000 2600 2000 アルファ6
オープンカー 1900 2000 2600
クーペ ジュリエッタ アルファスッド・スプリント
ジュリア アルフェッタ
GT/GTV/GTV6
1900 2000 2600
ロードスター スパイダー
グランスポルト・クアトロルオーテ
スポーツカー 6C 2500(英語版) モントリオール
33/2ストラダーレ
オフロード車 1900M
レーシングカー TZ/GTA
158/159(アルフェッタ)(英語版) ティーポ33(英語版) 177
(← 1950-1970年代) アルファロメオフィアット傘下) ロードカータイムライン 1980年代-
タイプ 1980年代 1990年代 2000年代 2010年代 2020年代
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3
ハッチバック MiTo
アルナ 145
アルファスッド 33 146 147 ジュリエッタ(940)
セダン ジュリエッタ 75 155 156 159 ジュリア
アルフェッタ 90
アルファ6 164 166
クーペ スプリント GT
SZ
アルフェッタGT/GTV GTV6 GTV (916) ブレラ
オープンカー スパイダー スパイダー(916) スパイダー(939) スパイダー(960)
RZ
スーパーカー 8C
4C
クロスオーバー トナーレ
ステルヴィオ
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