酸化的リン酸化

酸化的リン酸化(さんかてきリンさんか、oxidative phosphorylation)とは、電子伝達系に共役して起こる一連のリン酸化(ATP合成)反応を指す。細胞内で起こる呼吸に関連した現象で、高エネルギー化合物のATPを産生する回路の一つ。好気性生物における、エネルギーを産生するための代謝の頂点といわれ、糖質脂質アミノ酸などの代謝がこの反応に収束する。

反応の概要は、NADHFADHといった補酵素の酸化と、それによる酸素分子(O2)の分子(H2O)への還元である。反応式は

ADP + P i + H + ATP + H 2 O   , {\displaystyle {\ce {{ADP}+{P_{i}}+H^{+}->{ATP}+H2O\ ,}}} Δ G = + 30.5 kJ mol 1 {\displaystyle \Delta G^{\circ }={\mbox{+ 30.5 kJ mol}}^{-1}}

であり、ATPシンターゼによって触媒される。ミトコンドリアの膜間腔とマトリックスの間に生じた水素イオンの濃度勾配のエネルギーを使って、ATP合成酵素によってADPをリン酸化してATPができる。

真核細胞内のミトコンドリア内膜の他に原核細胞の形質膜にも見られる反応でもある。ミッチェルの提唱した化学浸透圧説での反応機構が最も有力で、次に仮説されたように、電子伝達系によって膜の内外にプロトンの電気化学ポテンシャル差が形成され、これを利用してATP合成酵素(F0F1)が駆動し直接ATPを合成するとされる。脱共役剤は電子伝達系の反応とATP合成の反応の共役を阻害するもので、これを添加することにより電子伝達系が行われても酸化的リン酸化はおこらない。またミトコンドリア内在性で同様の脱共役効果を生理的に発生するものとして脱共役タンパク質がある。

関連項目

外部リンク

  • 酸化的リン酸化(英語)
代謝、異化、同化
一般
エネルギー代謝
(英語版)
好気呼吸
嫌気呼吸
  • 酸素以外の電子受容体
発酵
特定経路
タンパク質代謝(英語版)
炭水化物代謝
(炭水化物異化
and 同化)
ヒト
非ヒト
  • キシロース代謝(英語版)
  • Radiotrophic fungus(英語版)
脂質代謝
(脂肪分解,
脂質生合成)
脂肪酸代謝(英語版)
  • ステロイド代謝(英語版)
  • スフィンゴ脂質代謝(英語版)
  • イコサノイド代謝(英語版)
  • ケトーシス
  • コレステロール逆転送(英語版)
アミノ酸
核酸代謝(英語版)
その他
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