ジェームス・キー

ジェームス・キーJames Key, 1972年1月14日 - )は、イギリス出身のエンジニアF1スクーデリア・トロ・ロッソマクラーレンF1チーム等でテクニカルディレクターを歴任した。

略歴

ノッティンガム大学機械工学を修め、1996年に卒業。在学中はロータス社からの奨学金を受けたため、卒業後はロータス社のレース用GTカーの設計者として働いた。

ジョーダン・グランプリ

EJ12(2002)ツインキール
エグバル・ハミディ設計)

1998年にF1ジョーダン・グランプリのレースチームに加入。当初はデータ取りが仕事であったが、2000年にはテストエンジニア、2002年には佐藤琢磨のシニアレースエンジニアと順調に昇格し、2003年には同チームの空力部門に携わった後、同年末に車体制御部門のトップとなった。

MF1レーシング

2005年にジョーダンチームがミッドランド社に買収された後もチームに留まり、技術コーディネーターの職を務め、同年末にはテクニカルディレクターに指名され、新チームMF1レーシングのデビューを直前に控えた時点で技術部門のトップとなった[1]。この時点で33歳(約33歳10ヶ月)であり、この当時、この歳でテクニカルディレクターとして起用された人物は2004年に同じく33歳で起用されたウィリアムズサム・マイケル(1971年生まれ)がいるのみで、非常に若いテクニカルディレクターの誕生でもあった。また、この時代、F1に関わる多くのエンジニアが他チームから上位の職を提示され移籍し昇進するという形でキャリアを積み上げていったのに対し、同じチームに留まり続けてデータエンジニアから昇進を重ねて叩き上げでテクニカルディレクターに達するというのも珍しいことである。

スパイカーF1

2006年9月、MF1レーシングがスパイカー・カーズ社により買収されて後も留任し、2007年から参戦していたスパイカーにおいてもテクニカルディレクターの座に留まった。ただし、テクニカルディレクターの上位となるチーフテクニカルオフィサー(CTO)としてマイク・ガスコインが加入したため、技術部門の責任者としての地位はガスコインに譲った。

フォース・インディア

2007年10月にスパイカーがビジェイ・マリヤミッシェル・モルによって買収されフォース・インディアとチームを改名したが、キーは同チームのテクニカルディレクターとして務め続けた。2008年11月には、上司であり、技術最高責任者でもあったガスコインが離脱したため、デザインディレクターのマーク・スミスと共にマシンの技術開発を進めていった。

ザウバー

2010年2月、キーは長年勤め上げたフォース・インディアを離脱。同年4月末に退任するウィリー・ランプの後任として、中国GPからザウバーチームのテクニカルディレクターに就任した。2011年からはマシン設計の主任を務めた。

2012年シーズンが始まる前の2月に突然ザウバーを離脱。置き土産となったC31は高いパフォーマンスを発揮し、キーのフェラーリ加入という噂も出た[2]

トロ・ロッソ

2012年9月にスクーデリア・トロ・ロッソに加入。離脱したジョルジオ・アスカネッリの後任としてテクニカルディレクターに就任。2018年6月まで同職を勤めた。

マクラーレン

2018年6月まで同職に就いていたが、同年7月にマクラーレンがキーの獲得を発表した事を受け、トロ・ロッソはキーの解任を決定(正確には契約交渉がまとまっていなかったため、ガーデニング休暇を命じた)。結果的に同チームの2018年シーズンの不調の一因となってしまった。シーズン中はキーが離脱を決めたことについて謎のままであったが、シーズン終了後、ヘルムート・マルコが説明した。シーズン前のキーは2019年型のマシンをワークス契約を生かした設計を実現できることに意欲を沸かしていた。だが、2019年からは、ハース=フェラーリのような部品の共通化を親チームのレッドブルと実施する計画が決定。また、エイドリアン・ニューウェイもこの年からF1の活動に復帰し、共通化に伴いトロ・ロッソの開発も間接的に指揮する予定であった。それに伴いキーの役割は、マシン開発よりその調整役に重点を置くこととなり、自らの手でマシンを開発することができなくなると判断。その結果、マクラーレン移籍を決断したと語った[3]。実際、マルコもレッドブルの設計思想やそのデータを重視するため、後任テクニカルディレクターを早急に就任させる予定はないとコメントしている。2019年2月にトロ・ロッソとマクラーレンとの間で移籍の合意がなされ、同年シーズン開幕直後の3月25日からマクラーレンのテクニカルディレクターに就任することになった[4]

しかしキーが中心となって開発された、2022年型のMCL36、2023年型のMCL60(改良前)は、いずれもお世辞にもできが良いとは言えないシャシーで、マクラーレンの成績も低迷した。この結果、2023年3月にマクラーレンはテクニカルチームの再編を発表し、キーはチームから解雇・更迭された[5]

アルファロメオ

2023年9月、アルファロメオF1チームにテクニカルディレクターとして加入。アルファロメオF1の運営はザウバー・モータースポーツであるため、事実上11年ぶりに復帰した[6]

人物

家族は妻と子供が3人いる[7]

脚注

  1. ^ MF1 Racing names James Key as technical director- Motorsport.com 2005年11月23日の記事のアーカイブ
  2. ^ "ジェームス・キー、フェラーリに加入か". F1-Gate.com.(2012年4月26日)2013年3月11日閲覧。
  3. ^ "トロロッソ・ホンダの技術責任者がマクラーレンと契約した理由は?". www.topnews.jp.(2018年12月27日)2018年12月28日閲覧。
  4. ^ “トロロッソとマクラーレン、ジェームス・キーの移籍に合意”. motorsport.com (2019年2月23日). 2019年2月24日閲覧。
  5. ^ マクラーレンF1が技術部門体制を一新。TDジェームズ・キーが離脱、フェラーリからサンチェスが加入 - オートスポーツ・2023年3月24日
  6. ^ “アルファロメオF1に加入した新TDキーが日本GPで初仕事”. オートスポーツ (2023年10月16日). 2023年10月16日閲覧。
  7. ^ 【特別インタビュー】トロロッソ技術責任者ジェームス・キー(3)ホンダとの記憶とアプローチ、シーズン開幕に向けて - オートスポーツ・2018年3月21日

関連項目

イギリスの旗 マクラーレンF1チーム
チーム首脳
主なチームスタッフ
  • イギリスの旗 ピーター・プロドロモウ (テクニカルディレクター{空力})
  • イギリスの旗 ロブ・マーシャル(英語版)
  • イギリスの旗 ニール・ホールディ(スウェーデン語版)
  • イギリスの旗 ピアーズ・シン (エグゼクティブディレクター・オペレーション)
  • イギリスの旗 ニール・オートレイ (デザイン開発部門責任者)
  • 日本の旗 今井弘 (ディレクター・レースエンジニアリング)
現在のドライバー
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1966年 -
1980年
1981年 -
2016年
2017年 -
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  • 過去のチーム関係者
主な関係者
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チーム首脳
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主なF1ドライバー
1960年代
1970年代
1980年代
1990年代
2000年代
2010年代
2020年代
※年代と順序はマクラーレンで初出走した時期に基づく。 ※マクラーレンにおいて優勝したドライバーを中心に記載。太字はマクラーレンにおいてドライバーズワールドチャンピオンを獲得。斜体はマクラーレンにおいて優勝がないものの特筆されるドライバー。
  • F1以外のレース車両
Can-Am
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F5000
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  • AlphaTauri(英語版)
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F1
チーム首脳
主なスタッフ
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  • スイスの旗 ビート・ツェンダー (スポーティングディレクター)
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  • イギリスの旗 ルース・バスクーム(英語版) (ストラテジスト)
過去の関係者
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※役職等は2023年12月時点。
2019年 - 2023年
2010年 - 2018年
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チーム首脳
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車両
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1991年以前
  • 「Template:ザウバー・メルセデス」を参照
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歴代チーム関係者
歴代ドライバー
F1マシン
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  • インドの旗 サハラ・インディア・パリワール(英語版)
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ドライバー
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創設者
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F1マシン
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2019年 - 2023年
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スイスの旗
チーム首脳
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  • スイスの旗 ビート・ツェンダー
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  • スペインの旗 セビ・プホラル(英語版)
  • イギリスの旗 ルース・バスクーム(英語版)
  • イタリアの旗 シモーネ・レスタ(英語版)
  • スイスの旗 パスカル・ピッチ(ポルトガル語版)
  • イギリスの旗 ジェームス・キー
ドライバー
車両
主なスポンサー
タイトルスポンサー:
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関連組織
1979年 - 1985年
チーム参戦
イタリアの旗

1976年 - 1987年
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主な関係者
主なドライバー
車両
主なスポンサー
タイトルスポンサー:
スポンサー/サプライヤー:
  • シスレー(英語版)
エンジン供給先
関連組織
1962年 - 1971年
エンジン供給
エンジン供給先
※この期間はエンジン供給は散発的に行われた。
1950年 - 1951年
チーム参戦

イタリアの旗
主な関係者
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※太字はアルファロメオにおいてドライバーズワールドチャンピオンを獲得。
車両
  • 158
  • 159
  • 160(フランス語版)
関連組織